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KAI-YOU起業への道 〜設立、そして未来へ篇その1〜

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さて、KAI-YOUの代表として、ちまちま書いているこの連続起業エントリも5回目になりました。
前回では、会社を立ち上げるために必要なものをリスト化して、その調達方法について書いてみました。ここからどうやって、会社を立ち上げるのか今日は書いてみたいと思います。
これまでのエントリはこちら!

KAI-YOU起業への道 〜決意前夜篇その1〜
http://d.hatena.ne.jp/KAI-YOU/20110711
KAI-YOU起業への道 〜決意前夜篇その2〜
http://d.hatena.ne.jp/KAI-YOU/20111027/1318693329
KAI-YOU起業への道 〜起業準備篇その1〜
http://d.hatena.ne.jp/KAI-YOU/20111227/1318693329
KAI-YOU起業への道 〜起業準備篇その2〜
http://d.hatena.ne.jp/KAI-YOU/20120310/1318693329


合同会社と株式会社】
ぼくたちの会社・KAI-YOUは、合同会社(LLC)という形態をとっています。これは2006年の会社法改正から国内でも認められるようになった会社形態で、共同経営型のビジネスや、企業同士が共同プロジェクトの運営のために法人を作る際などに主に利用されているようです。株式会社との主な違いは、取締役会が存在しないこと、定款自治の自由度が高い(会社のルールをある程度経営者が決められる)こと、立ち上げの費用と手間が少ないこと、そして株が存在しないことでしょう。


株が存在しないといっても、税制や契約面について株式会社と大きな差はありません。また株式会社と同じく、有限責任(簡単にまとめてしまえば、解散時に出資額以上の責任を負わなくてよいということ)というメリットもあります。じゃあ何が違うのかといえば、会社の主体(所有といったほうがいいかもしれません)と経営が同じか、分かれているかの差だと言えると思います。


株式会社は株を発行し、出資した株主こそがある種会社の主体と言えます。その資金をどう活用して経営し、利益を上げるかかというのが経営者の役割です。一方の合同会社では、原則として社員に出資が義務付けられているため、出資者が経営を行うという形になっています。株式会社における取締役のことを、業務執行社員と言うのですが、彼らが自ら出資し、経営を行うスタイルなわけです。


ややこしいのは、ここでは社員=被雇用者ではないということ。社員=出資者なので、自然人でないもの(=法人)も合同会社の1社員となることができるのです。ただし社員と業務執行社員のパワーバランスは、さっき書いた定款自治で定められるので、まあ自由に決められます。つまり出資者の意向よりも、経営者自身の感性と判断で自由に経営ができる法人組織だと言えると思います。


くわえて大きいのが、初期費用の安さと手軽さ。個人で会社を立ち上げる時には、今後のことを考えれば少しでも立ち上げには余計な費用を割きたくないもの。もちろん潤沢な資金があるのなら別ですが、あるにしてもムダにお金を使うのはもったいない。株式会社の設立には、だいたい20万円〜30万円ほどかかるものです。行政書士の費用にもよりますが、これくらいは最低でも用意しておきたいところ。
一方合同会社では、6〜10万円あれば設立が可能です。1番大きな差は、登録免許税。合同会社が60,000円なのに対して、株式会社は150,000円必要となります(登録免許税=資本金額×0.007 or 15万円の高い方の金額。資本金額が2,157万円以下の場合、15万円になります)。


とくれば合同会社にしない手はない、と思っていたのですが、最後まで株式会社にすべきか、合同会社を選ぶべきか意外と悩んだなあということを思い出しました。当時身の回りの経営者の方に相談をさせてもらっていたのですが、よく言われたのは「そもそも個人事業主じゃダメなの?」だったり「合同会社? 株式会社でいいじゃん」といった言葉でした。


前のエントリで書いた通り、ぼくらが雑誌『界遊』の制作と、それにともなうKAI-YOUとしてのジャンルを越境したさまざまな試みを理想的な状態で遂行するには、法人化しビジネスとして行っていくしかない、という前提があったので、法人化すること自体への迷いはなかったのですが、会社形態をキメるのには少し時間がかかってしまいました。


それでも合同会社という形で法人化したのは、共同経営型のスタイルに相性がいいこと、費用の安さ、新しさを感じさせながらも株式会社への組織変更が容易なこと、それに加えて東浩紀さんが代表をつとめ、今年度より株式会社ゲンロンに組織変更された(おめでとうございます!)合同会社コンテクチュアズの存在が、気持ち的な意味で後押ししてくださったということもあります。


あと調べてみると、実はスーパーの西友や、ユニバーサルミュージックApple Japanなども合同会社。これはたぶん税務上のあれこれが理由のひとつということもありますが、大きな会社があえて組織変更して合同会社化するケースも増えてきました。聞くところによると震災以降、合同会社の設立件数が増えているということもあるそうです。これは主観ですけれど、震災をきっかけに復興関連事業として個人レベルで立ち上げに至ったケースもあれば、企業間での復興関連事業の運営母体としての立ち上げ、また震災以前から増えていた福祉関連事業での立ち上げの伸びが影響しているのではないかと思います。個人が起業するハードルと、企業間でのプロジェクトのハードル、それぞれを下げられる形態だということが、震災以降スピーディに法人格を持ちたいというニーズにマッチした結果な気がします。
いずれにしても「ハードル」を下げてくれる形態であるので、個人的にはもっと一般化したらいいのになあ、なんて思ってます。




と前置きくらいのつもりで書いていたら、けっこう長くなってしまったので本日はここまで。
いつになったら終わるんだろう、とみずから思いつつ、具体的な設立の流れとそうやってできあがった、KAI-YOU, LLC.(合同会社カイユウ)としてぼくらが何を目指していくのかを来週のエントリで書きたいと思います!