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8年前に書いたけど全然記憶にない文章が偶然見つかったので晒してみる

代表・米村と副代表・新見の連載がスタート。ふたりが毎週火曜に週替りでブログを書いていきます!

代表/副代表が普段考えていること」「お互いが書いた記事への意見」「お互いに言いたいけど言いにくいこと」などなどが書かれていく予定(!)です。

8年前に書いたけど全然記憶にない文章が偶然見つかったので晒してみる

 わいがちゃんよねや(Twitter@TYonemura

夏になった。私ことわいがちゃんよねやは、冬はまじで毎日死にたくなるくらい元気がなく、どんなに好きな人だとしても基本的に誰とも会いたくないが、気温が30度を越えてくると、人とふつうに会話できるくらいになる。なので1年くらい会ってなかった人に最近よく会うようにしている。

f:id:KAI-YOU:20170724140104j:plain夏がきて活動的になった米村

夏が好きというアピールをするには歳を取りすぎてしまったが、夏になると肩こりも緩和されるし、ヘルニアによる腰痛もあまり感じないので、夏に自分が適しているんだろうなと思う。

ところで、昔のことを思い返してみると、夏の光景が多い。恥ずかしいので特にその情景は語らないが、夏は記憶を呼び覚ます。脳細胞が活性化されるのかもしれない。

先日、部屋の掃除をしていたら、現在の株式会社カイユウの前身である、界遊制作委員会時代のフリーペーパー『 界遊1/2』がでてきた。あまり知られていないし、自分でも忘れていたのだが、雑誌の『界遊』を発売する前に、その号ごとの宣伝をするためのフリーペーパーを配布していたのだった(さらに知らない人のために説明すると、カイユウという会社をつくる前は、有志で雑誌をつくって販売していた。全国の書店に自分たちで卸していた)。

メイン誌となる『界遊』はいろんな有名人・著名人に原稿を依頼していたのだが、そのフリーペーパー『界遊 1/2』には極力身内でコンテンツをつくろうとするコンセプトがあった。

私の部屋で見つかった『界遊 003 1/2』は2009年12月31日発行。もう8年近く前になるものだった。特集は、ピクシブ株式会社CEOの片桐孝憲さんのインタビュー(現在はDMM社のCEOになっている。このインタビューをきっかけとして一時期、ピクシブ株式会社に私は席を用意してもらうことになるんだが、それはまた別の話)、裏面は、なんと私のコラムが掲載されていた。

そのコラムが、もう本当に「誰が書いたんだこれ・・・」というくらいに書いた記憶がなく、また現在の自分では絶対に書かないような文体で書かれていたので、わりと黒歴史とも感じることなく読んでしまった。本当に自分が書いたのかすら疑わしいが、米村 智水 と本名でクレジットがあった。

せっかくなので、ここに一部わかりづらいところを少しだけ加筆しつつ、丸っと転載してみたいと思います。けっこう夏に関するテキストで、今の季節にちょうどいいかなと思ったので。

荒らし的、無意識的、神聖かまってちゃん

f:id:KAI-YOU:20170724135040j:plain界遊 003 1/2

パソコン、もしくはインターネットはおもちゃだった。
我が家にインターネットが開通したのは1997年の夏だった。僕は小学5年生で、いまより千倍くらい強い好奇心でもって、そのおもちゃで遊び倒した。海外のゲームサイトの掲示板に自作のグロテスクな絵を何十枚もアップロードしたり、17歳の女子高生を騙ってアダルトサイトのチャットで見知らぬ親父を釣ったり、とにかくやりたい放題だった。最高の夏休みだった。

近年、ブログなどに見られる《炎上》のそれと異なり、当時様々なサイトで横行していた《荒らし》には〈至極、偽善的な〉正義感もなければ、露悪的な付和雷同に発展するような要素もなかった。ただの一回きりの、去来した好奇心に駆られて《荒らし》は行われていた。それは小学校のトイレに友人を閉じ込めて「小林君がウンコから戻ってこない!」と学校中で叫び回ったり、水泳の授業中に突如として水中でフルチンになり背泳ぎするなど、そんな程度のものだったと認識している。

2009年現在、ネットの世界では細微な環境整備が敷かれ、そのような場面に遭遇することは少なくなっている。《荒らし》は2ちゃんねるニコニコ動画など、最初から荒らし行為を織り込み済みの、《荒らし》すらもコンテンツの一部として内包してしまうような特殊な閉じた場でしかほとんど見かけることはない(厳密にいえば、それは荒らしではない)。偶然見てしまった人がぎょっとするような、そんな《荒らし》を行うことは、一つの公的な社会として捉えられることになったネット空間において、困難になっている。空気の読めない書き込み=《荒らし》は排除されるか、黙殺されるのみだ。

そんなネットの状況に突如として現れたのが、神聖かまってちゃんというバンドだった。

彼らは警察署の前でライブをして歩道されるなどの奇行や、自作のミュージックビデオやライブ映像をPeerCastYouTubeにアップし続け、着実に評価されていった。見た人がぎょっとするような、奇行の数々と、これまたぎょっとするような真摯な曲との振り幅に、多くの人が惹きつけられていった。本来成り立たない意識的なプロモーションと無意識的ないたずらの両立を、彼らはなんなくやってみせている。
その場に見合った空気の読み合いの優劣で構成、評価がなされているネットコンテンツの中で、全く空気を読めていない、背景や文脈が断絶された前述のような動画や楽曲が評価されているのは奇跡だと言ってもいい。

「23歳の夏休み」という彼らの人気楽曲と同じく、奇しくも僕も2009年で23歳になった。酷すぎる夏休みも経験した。あの頃は良かったなんて、断じて口に出して言ってはいけないが、言いそうになることだってある。けど、それがふつうだろう。
神聖かまってちゃんはふつうじゃない。いかれている。ふつう持ち得るはずのない、持続するはずのない小学生の感性をそのままに携えている。だから、あの頃が良かったなんて歌は一つもないし(むしろ嫌悪している)、過去として終わらせていない。けれども、「引きずり続けている」という言葉もふさわしくない。小学生のまんまだからだ。
子どもが無邪気に蟻を踏みつけて殺すように、クールで大人ぶったええ格好しいのバンドやシーンを彼らは踏み潰していくのだろう。無意識的に、荒らし的に。
気がついたら夕暮れで、公園の蟻がすべてほじくり返されていたなんて多々あったことだし。
(2009年12月31日発行 『界遊003 1/2』より)


本当にわいが書いたんだろうか……記憶がない……。

次回は、このブログでめっちゃ良文を書き続けているCOOの新見直くんが8年前に書いたテキストを晒してくれます。みなさんお楽しみに〜^^

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