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村上春樹『騎士団長殺し』と不変性について──あるいは講談社春樹と新潮社春樹|KAI-YOU CEO/COO BLOG

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代表・米村と副代表・新見の連載がスタート。ふたりが毎週火曜に週替りでブログを書いていきます!

代表/副代表が普段考えていること」「お互いが書いた記事への意見」「お互いに言いたいけど言いにくいこと」などなどが書かれていく予定(!)です。

村上春樹『騎士団長殺し』と不変性について──あるいは講談社春樹と新潮社春樹

 わいがちゃんよねや(Twitter@TYonemura

こんにちは、米村です。今回は村上春樹について書きます。

村上春樹さんといえば、いまや国民的な作家として知られていますし、ふだん小説や文学作品をあまり読まない人でも、その名前くらいは聞いたことがある人は多いと思います。一作くらい読んだことがある人もこのブログを読んでいる人には、それなりに多いと思います。

先日、7年ぶりの大長編と銘打たれた新作『騎士団長殺し』も刊行され、ご本人はもう老齢ながらも、長編を書き続けていられるのはすごいことです。

f:id:KAI-YOU:20170228184145j:plain:w600 (画像はAmazonより)

私は実は大学では文学、特に近現代の日本文学を専攻しており、そういった環境もあって村上春樹さんの影響力はハンパではなかったです。批評や研究だけでなく、実際に創作を行う講義も中にはあったのですが、いわゆる「ハルキスト」的な文体を用いる人の多いこと多いこと。

僕も文学徒のはしくれとして、当時刊行されていた村上春樹作品はだいたい読んでいましたが(特に『羊をめぐる冒険』『ダンス・ダンス・ダンス』はめっちゃ好きでした)、文学への熱意も学部卒業以降はだんだんと薄れていき、2004年に刊行された『アフターダーク』を最後に、村上春樹作品から遠ざかっていました。

でもいまはWebメディア的な仕事をしているので、なんか飲み会で話すネタや記事の材料になると思い、『騎士団長殺し』上下巻を4000円近くする金額を出して購入してみました。以前は4000〜5000円する本なんてバカスカ買ってましたが、くそ高くてびびった

上巻を読んでみた感想

まだ上巻の途中なのですが、読んでみた感想として、人ってなんてこんなにも変わらないんだろう、ということです。

敵か味方か分からない人外的な謎の存在、突然入り込むセックス描写(不倫)や、鼻につくスノッブ感とメタファーにまみれた情景・心情描写など、どこからどこまでとってみても、『海辺のカフカ』『ねじまき鳥クロニクル』以降の村上春樹作品(いわゆる新潮社春樹)となっており、こっそり授業中とか帰り道で村上春樹作品を読んでいた高校生のころを思い出してアイテテテ・・・となってました。

風の歌を聴け』から続く初期3部作から『ダンス・ダンス・ダンス』へと集約される、いわゆる講談社春樹が好きだった自分としては悲しい感じもありました。

その村上春樹の不変さを、自己模倣だとして断罪するのは簡単ですが、なんで人はそんなに変わらないのかというと、そもそも人はそんなにたくさんの言いたいことなんて持ち合わせていないのではないか、という仮説があります。

結局、感想としては、我々KAI-YOUもいつまでポップポップ言い続けられるのかな〜なんてところまで行き着いた。そして、正直もうこの手の村上春樹作品は個人的には食傷気味なので、最後まで読めるか心配です。やれやれ。パスタ。セックス。人には変化も必要だ。もうすぐ春だ。

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

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